TheEconomist「ひとりでいる魅力」

Singletons: The attraction of solitude | The Economist.

ひとり暮らしは世界中に広まりつつあるが、悪い知らせなのだろうか?

 

エコノミスト8月25日

 

かつてのアメリカの人気番組セックス・エンド・ザ・シティは、ひとり暮らしの30代を描いたもので、プラダをもった主人公たちは中東の女性にすれば好ましくない姿である。第二作の続編映画は一部分アブ・ダビを舞台にしたものであるが、政府当局はアブ・ダビで映画を撮ったり上映したりすることも禁じた。

しかし、ひとり暮らしというライフスタイルは、湾岸諸国の国々でも定着しはじめているように見える。婚約したカップルへ財政援助をしているアラブ首長国連邦結婚基金による最近の経済分析によれば、30歳以上の女性のうちおよそ60パーセントが未婚であり、1995年の20パーセントから上昇してきている。政府広報官のザイ・アルキビによれば、「とても憂慮すべきことだ」という。

もし慰めるとするなら、アラブ首長国連邦だけではない。ひとり暮らしは、世界中いたるところで広まりつつあるからだ。調査会社ユーロモニターの予測によれば、2020年までに、世界には新たに4800万人のひとり暮らしをするひとが加わるだろう。これは20パーセントの増加である。ひとり暮らしは世界のほとんどの地域で、成長が一番著しい家族構成となるだろう。(表を参照)

この傾向は豊かな西側諸国でもっとも目立つ。西側諸国ではしばらく顕著な傾向だった。例えばアメリカの成人の半数は未婚であり、1950年の22パーセントから上昇している。更におよそ約15%がひとり暮らしをしているが、1950年の4%から上昇している。しかしシングルは経済の多様化をすすめ、消費のパターンを変える。ブラジルでは、単独者に好まれる出来合いの食事の年間売り上げは、過去五年間で倍増し、12億ドルにまで達した。スープの売り上げは3倍になった。

この現象は世界的なものであるけれど、そうした状況においやる要素は様々である。ブラジルの未婚の大統領ディルマ・ローゼルフが、この国の急速な工業化を押し進めたのは結婚しなくなった国民と協力したからこそであり、晩婚化がすすむ国民と協力したからこそである。日本では、女性たちが結婚という足かせと自分たちの職業を引き替えにすることを拒んでいる。イスラム教のイランでさえ、女性たちのなかには結婚より教育を選ぶ者もいるようになり、新しいゆるやかな離婚の法律を利用したり、ひとり暮らしを守るために偽装の結婚指輪を光らせる。

中国とインドでは、状況はもっとやっかいである。これらの国々における男子の赤ん坊を選ぶ暗黒の技は、ある世代において未婚男子が増加することを約束し、結婚する人々が減少する見通しを約束するものである。アフリカ系アメリカ人のあいだでは、この逆が真である。アメリカの刑務所のシステムでは19歳から34歳の黒人男性9人のうち1人をとらえることになり、黒人女性のための選択の場を狭めている。そもそも一般的に黒人女性は自分たちの人種以外とは結婚しないのだ。

しかし、一般的には三つの説明があてはまる。第一に、女性は職業が成功しそうな見通しがたったあとで結婚しようとすることが多い。第二に、ますます長寿になったせいで、配偶者に先立たれた夫や妻たちは、これまでの男やもめや未亡人より長生きするようになった。最後に第三に、多くの国における社会に関する態度の変化が意味するものは、結婚生活の破綻であり、経済の安定の破綻、性的な関係の崩壊、安定した人間関係の破綻である。今では婚礼の夜の床以外なら、そうした破綻は頻繁に見受けられるものである。

ひとり暮らしの拡散には好ましくない点もある。ひとり暮らしの世帯は二酸化炭素の排出量が複数世帯より多くなるし住居費も割高になる。ひとり暮らしだと子供の数が少なくなる傾向にあり、老齢人口を支える若者の重荷が増加する。さらにひとり暮らしの人々は精神的に傷つきやすいし、その結果、パートナーのいる人より社会にとって費用のかかる存在になる。これまで数多くの研究により確かめられてきたところによれば、安定したロマンチックな関係のほうがひとりでいるよりも心理的にも、経済的にも利点がある。

しかし、このような心配は誇張しすぎかもしれない。「シングル」という単語は、すべての未婚者を一つの籠にまとめてしまう。本当の個人主義者、婚姻という形はとらずに同棲生活をしている者、友達や家族と一緒に住んでいる者を区別することが難しい。一人で暮らしている者でさえ、必ずしも独りぼっちとはいえない。「ひとりで暮らすこと、ひとりでいること、孤独を感じること、これらは三つの異なる社会状況なのである」と、ニューヨーク大学の社会学者であり、最近刊行された「ソロでいくこと」という本の著者エリック・クリネンバーグはいう。

クリネンバーグが論じるところによれば、個人主義者とは違って、シングルは友達や隣人と時間を過ごすことも多いし、市民組織のなかでボランティアをすることも多い。これはネットワーク網が形成されていく社会において、なぜひとりぐらしが増殖していくかという理由を説明するものである。クリネンバーグによれば、多くの都市やスカンジナビアでは、社会の強固なセーフティネットのおかげで、人々は自由に自分の目標を追いかけている。ユーロモニターの予測によれば、2020年までにスェーデンの世帯のおよそ半分が一人だけの世帯となるだろう。

政策立案者たちは、ひとり暮らしを無視する傾向にあるし、カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校の社会心理学者ベラ・デポーロが「シングリズム」と呼ぶ考え方に罪の意識を感じている。税制上の優遇措置から休日の催しまで、夫婦は利益をうける主として楽しむが、ひとりものはその利益にはあずからない。

 

結婚するカップルが減ったからといって、結婚の質があがるだろうか?

 

この流れを抑制しようとしている政府もある。例えばアラブ首長国連邦の結婚基金は、今年、およそ1600万ドルの1回かぎりの援助金を交付して、結びつきをつくろうというカップルを励まそうとした。同基金は集団結婚式のスポンサーにもなっているし、「情熱ジャーナル」という名の定期刊行物を発行している。アメリカではオバマ政権が、ジョージ・ブッシュによって始められたプログラムである「ヘルシー・マリッジ・イニシアチブ」に資金提供を続け、1年に1億5000万ドルかけ、結婚していない男女を結婚させようとしている。

しかし、こうした努力は機能しないかもしれないし、かえって裏目にでることもあるかもしれない。アメリカにおける結婚促進の最近の調査によれば、非白人と貧しい家族に呼びかけたところで効果はなかった。そうした人々は親しい異性との関係を改善するより、経済的に安定するほうを優先するからだ。結婚とは自発的な意志によるものであり、女性の基準が高くなってきているせいで、概して結婚は不安定なものとなってきている。こうした現象は結婚が機能するのはなぜなのか、いつなのかということを説明するものである。また結婚は昔のように有望なものでもなく、親しい関係をむすぶものでもなくなってきている。「結婚と歴史」の著者であるステファニー・クーンツはこのように指摘する。

だから政府も動揺しないほうがいい。キューピッドの手は無理強いされると、矢がそれてしまいがちである。ローマ帝国の初期の頃、皇帝アウグステイヌスは結婚率が活気を失っていくのに対応しようと税金を課したとき、彼が直面したのは結婚年齢に達していない娘たちとの婚約の氾濫や貴族議員のあきらかな謀反であり、夫婦間での欲望の減少だったのだから。

(さりはま訳・りばぁチェック)

 

さりはまからのメッセージ

 職業云々ではないのだと思う、ただ心地いいのだ、ひとりでいることが。結婚して家族との人間関係をいつまでも維持するべく努力する、そんなストレスに耐えられるのだろうか。子育てにはサポートよりも精神的負担も多いし、出費も多い。昨今のニュースをみれば、子育てとはハイリスク・ノーリターンの投資に思えてくる。ひとりでいれば、好きなことに、好きなだけお金を使うことができる、気のむいたときに人と会えばいい・・・こうした気持ちになった結果、日本も言うまでもなくすべての世帯のなかで単独世帯が一番多い国となっている。もう少し単身世帯にも優しい国になってほしい。今の日本で身よりのない一人者が家をかりたり手術を受けるのは易しいことではない。ただ困るのは、これでは知が受け継がれることもなく、未来の納税者も育たない。それでも正直に言おう、ひとりでいるのは楽しいものだ

 


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