再訳 サキ『耐えがたきバシントン』№83

モリー・マククェードは鋭く相手を見つめたが、彼は目の前で駆けまわる雉に視線をむけたままだった。

「役に立たない相手に夢中になっているなんて言わないで。お金もないひとなんかに」彼女は言った。「そんなことには耐えられないわ」

しばらくのあいだ、彼女はコートニーのわがままが思いもよらない展開を生じたのではないかと怖れた。そこでは、野心が今このときを空想する方へと流されてしまう。もしかしたら議会での出世を犠牲にしてまで、束の間の、魅力的な女を相手にして、愚かしい無為の時を過ごすのだろうか。彼はすばやく彼女の疑念をはらいのけた。

「その女性には、山ほどの資産がある」

Molly McQuade turned sharply to look at her companion, who still fixed his gaze on the pheasant run in front of him.

“Don’t tell me you’re losing your head over somebody useless, someone without money,” she said; “I don’t think I could stand that.”

For the moment she feared that Courtenay’s selfishness might have taken an unexpected turn, in which ambition had given way to the fancy of the hour; he might be going to sacrifice his Parliamentary career for a life of stupid lounging in momentarily attractive company.  He quickly undeceived her.

“She’s got heaps of money.”


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