再訳 サキ『耐えがたきバシントン』№90

 エレーヌ・ド・フレイはくつろいで座っていたーとにかく、全身でくつろいでいたー柳の小枝で編んだ低い椅子はヒマラヤスギの木立におかれていたが、そこは荘重で広々とした庭の中心だったーその庭は公園になることを最初から心に決めていたかのような場所であった。古風な噴水の浅い石の水盤がーその縁では鉛のカワウソが永遠に鉛の鮭を捕食していたー人目につく場所をしめながら、すぐ近くで前景をなしていた。周囲にはラテン語の銘文が刻まれ、死すべき人間に警告しているのは「時は水のように速く流れ、時を利用しようとする者は疲れ果てる」との言葉であった。その後ろでは、その言葉について道徳的考察をするジャコビアン様式の小品が、恥知らずにもその道を通りすぎる者を惑わしてしまうので、瞑想にふけって休憩することはあきらなければならなかった。

Elaine de Frey sat at ease—at bodily ease—at any rate—in a low wicker chair placed under the shade of a group of cedars in the heart of a stately spacious garden that had almost made up its mind to be a park.  The shallow stone basin of an old fountain, on whose wide ledge a leaden-moulded otter for ever preyed on a leaden salmon, filled a conspicuous place in the immediate foreground. Around its rim ran an inscription in Latin, warning mortal man that time flows as swiftly as water and exhorting him to make the most of his hours; after which piece of Jacobean moralising it set itself shamelessly to beguile all who might pass that way into an abandonment of contemplative repose.


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