サキの長編小説「耐えがたきバシントン」11章116回

そして自分の感情をむける第一の対象をヨールと決めた今、彼女の目にうつる彼のすがたは、きわめて優れた資質を急速に獲得しているかのように思えるのだった。買い物をした者にはありがちなことだが、彼女にはしあわせな、女性らしい傾向があって、品物を手に入れるとすぐに、それが価値あるものであるかのように誇張するのであった。さらにコートニー・ヨールからうける思いとは、自分は賢明な選択をしたのだとみずからを正当化する感情だった。時として自己中心的であり、皮肉めいたところのある彼が、いつも礼儀正しくて優しくしてくれることに、ひときわ喜びを覚えるのだった。こうした状況であれば、どんな男性を判断するにしても、影響をうけてしまうだろう。この場合、もうひとりの求婚者の行動と比べてみることで、その価値が著しく高まるのだった。さらに彼女の目にうつるヨールの姿は、言葉で戦うときであろうと、黒幕として策略をめぐらすときであろうと、論戦の魔術を敵にあびせるという強みがあった。彼が最前列にいる戦いとは、実は陰であやつられているものであり、彼特有の不誠実さにみち、計算された英雄気取りにおおわれて何かを引き起こそうとするものであったが、それでも国の発展と世界の歴史に何らかの価値があることをしていた。

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