さりはま書房徒然日誌2024年4月17日(水)

丸山健二「千日の瑠璃 終結1」を少し読む

ー説明のない「書きかけの手紙」「食べかけのミカン」が物語を語るー

十二月三十日「私は隙間風だ」で始まる。まほろ町に駆け落ちしてきた二人(オオルリのバッジをセーターにつけた二人)が借りたあばら家に吹く風である。
以下引用文。そんな二人の生活が立ち現れるような、文である。どこ宛とは書いていないだけに、「書きかけの手紙」が一層気になってくる。親を説得する手紙なのだろうか。
「根拠なき希望がぎっしりと詰まった部屋」で普段の二人の会話が見えてくるようである。
「食べかけのミカン」の存在も、「根拠なき希望」と重なって思えてくる。

食べかけのミカンと
   書きかけの手紙のあいだを擦り抜けつつ
      根拠なき希望がぎっしりと詰まった部屋を
         でたらめに走り抜ける。


(丸山健二「千日の瑠璃 終結1」364ページ) 

以下引用文。不自由な世一の動きをかくも美しく、この世にある存在の重さを伝えてくれる文だと思った。

そして
   累積する矛盾で成り立っているかのような
      夢幻的な歩行でさまよう少年に纏わりつき


(丸山健二「千日の瑠璃 終結1」365ページ)

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