丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より九月七日「私は水だ」を読む
土砂流出を防ぐ工事のあと「うたかた湖を満たす瀕死の水」が語る。
『千日の瑠璃』が最初に書かれたのは1992年。
そろそろバブルが終わろうとしていた頃だ。
金の勢いに任せて地方の自然まで荒らされていく様子を、水の視点から語る。
あの時代に語らなければいけないことを、こうして文字にしてくださっていたのだなあと思いつつ読む。
湖岸の山をほんの少し削り取られただけで生じた
めまぐるしい一連の変貌に
私はもう付いてゆけなくなって
日ごとに浄化の力を落とし、
開発と破壊の因果関係の歴たる証拠を目の当たりにした
数少ない心ある住民たちは
心底から悲しみ
そして
本気で怒っている。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』26ページ)