丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より九月十六日「私は解放だ」を読む
世一の飼っているオオルリは、実は飼育が禁じられている鳥。
まほろ町のリゾート開発運動に反対するグループの矛先は、このオオルリへ向かう。
仕方なく町役場勤務の父親は籠のオオルリを放つ。その「解放」が語る。
最初は世一の方へ行こうとしたオオルリだが……。
以下引用文。
飼い鳥としての存在から、心ならずも決別させられたのだなあ……と「もはや飼い鳥でない事実を悟らせた」の文に思う。
そんなオオルリが向かう世界が何とも美しく響いてくるのは、「もっと高く さらに高く」の醸す高揚感のせいだろうか。
でも不自由な少年世一はどうなる? なんとなく世一のこれからの運命も見えてくるような箇所である。
ところがオオルリは
知らない人間やクルマの排気音や臭い空気に改めて圧倒され、
ともあれ
その場を離脱しなければならないと直感して
まっしぐらに空へ逃げ場を求め
頭上を占める青にたちまち溶けこんでしまい、
そこで私は
もっと高く
さらに高く押し上げてやり、
そうすることによって
もはや飼い鳥ではない事実を悟らせた。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』64ページ)