さりはま書房徒然日誌2026年5月26日

丸山健二「千日の瑠璃 終結8」より十月四日「私は行列だ」を読む

「千日の瑠璃」の面白さは、自然を眺めることで社会を見つめている丸山先生の視線にもあると思う。

「黒アリの長過ぎる行列」はこう語る。

たしかに黒アリの行列には、全体主義を彷彿とさせる不気味さもあるなあと思う。

巨石の真下に築かれた
   複雑にして巧緻な巣と
      共同墓地に供えられた
         甘過ぎる饅頭とのあいだを
            途切れることなく結ぶ私は、

ひよっとすると
   全体主義を確信して憚らぬ誰かに
      よく似ているかもしれない。


(丸山健二「千日の瑠璃 終結8」134ページ)

そんな黒アリも、丸山先生の目からすれば人間世界よりは遥かに素晴らしいものに見えてるのだなあと思う。

信濃大町の庭から、人間の営みを見つめている丸山先生の生き方が羨ましくなってきた。

勇猛な兵士と
   勤勉な労働者から成る私は
      粒々辛苦の末に目的を遂げ
         由々しき問題もなんとか解決し、


だからといって
   ひと握りの特権階級のための
      おぞましい集団などではない。


そんな私が最も忌み嫌うのは
   組織全体の足踏み状態であり、

なお且つ 
   いかなる集団にも属さぬ少年世一であり


(丸山健二「千日の瑠璃 終結8」136ページ)

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