さりはま書房徒然日誌2026年7月9日(木)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より十月十日「私は宇宙だ」を読む

「常にまほろ町の人々の意識の外に在りながら のべつかれらの魂の正中線にある」と作者が語る宇宙。

宇宙の中にありながら、そのことをすっかり忘れている町の人々は、まさに私そのものだ。

対照的に宇宙を感じ取るのは盲目の少女。

そして宇宙に負けないほどのエネルギーを発散するのは、一番弱い存在である筈の世一。

弱い者たちに強さを感じる……のが丸山文学の魅力の一つだと思う。

盲目の少女が露頭に腰を下ろして愛でる天頂の星は
   どこまでも黒く、

日月の運行は退屈極まりなくて
   満天にちりばめられた天体の動きは脆弱に過ぎ、

暗黒に呑みこまれることなく私を突き抜けられる光は
   一条としてなく、

神仏が放つ光ですら
   やがては滅してしまう。

だがしかし
   少年世一の実に不安定な肉体と
      人一倍揺れの激しい心が
         衝突して飛び散る火花だけは例外中の例外で、

それは青くて細く
   一定のエネルギーを保ってどこまでも直進し、

ブラックホールがもたらす
   重力レンズによる歪みの作用などものともせず
      ついには私を貫通する。


(丸山健二「千日の瑠璃 終結8」160ページ)」


さりはま について

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: さりはま書房徒然日誌 タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.