さりはま書房徒然日誌2026年6月23日(火)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より十月九日「私は密談だ」を読む

不自由なところのある世一を遠い施設に預ける密談をしている両親。

以下引用文。

「私の名残りといっしょにゆっくり吐き出し」という箇所。
凝った英文なら「私の」を「その」にすればこういう表現は見かけるかも……という気がして、英文の形まで浮かんでくる文。
それが日本語の文として違和感なく存在する不思議さ。

当の世一はというと
   それまで止めていた息を
      私の名残といっしょにゆっくりと吐き出し、

ついでにそっと布団に潜りこみ
   壁に貼られた観光用ポスターを飾る
      エアーズロックの頂から
         完全無欠の青い鳥となって
            果敢に舞い降りた。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』157ページ)

そんな両親の密談を気にもしないでエアーズロックのポスターを見入る世一。

世一の妖精じみた純真無垢、天真爛漫さが、「完全無欠の青い鳥」「果敢に舞い降りた」から喚起される。

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