さりはま書房徒然日誌2026年7月15日(水)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より十月十一日「私は消沈だ」を読む

家族の手でオオルリが籠から放たれた後、世一にとりつく消沈が語る。

以下引用文。

その消沈を「水底魚」に例えることで、世一の途方もない絶望がひしひしと迫ってくる。

またオオルリがいた鳥籠と風鈴が同じ軒先にあることで、なんとも言えない可愛らしさ、それがいなくなってしまった虚しさが見えてくる気がした。

その胸の深層部では
   暗澹たる何かが
      水底魚よろしく
         腹這いになったまま微動だにしない。

一日じゅう自室に閉じこもったきりの世一は
   青い帽子を目深にかぶったまま
      風鈴といっしょに軒先に吊るした空っぽの鳥籠を眺めて暮らし、


(丸山健二「千日の瑠璃 終結8」163ページ)

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