さりはま書房徒然日誌2026年6月13日(土)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より十月八日「私は庵だ」を読む

冒頭の庵を語る言葉から、作者のメッセージが強く打ち出されている。

間違いなくあの戦争の中心に存在して
   責任を問われぬはずもない天皇がまだ生きていた頃に
      うつせみ山の麓の竹林のなかに設けられた
         茅葺きの庵だ。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』

そんな庵に住んでいるのは「天皇の戦士でありながら 併せて帆船の闘士でもあった彼」

戦争が終わっても、その心の戦争は終わらず「乱れがち」である。

以下引用文を読んでいると、

戦争へと傾いていく力を、社会の隅々にまで浸透しようとするその気配を感じ、今の世とも重なってきて、まさにその通りと思う。

されど
   この寡言の人たるや
      私に問い掛ける基本的な言葉すら失って
         人間の在り方に関する疑念を全部放り出して
            色即是空の洞窟へと逃げ込み、

そんな彼はとうの昔に
   集団や組織の末端まで行き渡る力の正体に気づき、

まさにそれこそが
   背後を襲ってくる元凶であることも

      よくよく承知している。

かくして
   彼の戦友や同腹の身に降りかかった
      ありと悲劇の大方が
         そこに因由することと相なり


(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』153ページ)

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