さりはま書房徒然日誌2026年2月25日(水)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より九月十四日「私は供物だ」を読む

「あまびこ神社の神官の手によって うたかた湖に恭しく捧げられる」供物が語る。

「水のほうは人間が大嫌い」という発想はなかった。

いつも都合のいいように、水に自分の思いを仮託していたかもしれない。

でも水にすれば、そして森や海にすれば、理性なく荒らしまわる人間という存在は、何とも嫌なやつに思える……という視点にハッとした。

すると神官の息子は
   「人間は水が大好きでも
       水のほうは人間が大嫌いなんですよ」と言い、

だが彼の父親は
   水は神そのものであるからにして
      けっして人間を見捨てたりはしないと
         自信たっぷりに言ってのけ、


ひっきょう
   彼らの見解の相違は
      永遠に持続しそうな案配だ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』57ページ)

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