丸山健二『千日の瑠璃 終結8」より九月一日「私は鼻環だ」を読む
子供のいない夫婦がペットとして飼う牛。その鼻につけられた鼻環が語る。
以下引用文。鼻環を相手に牛は自由への思いをぶちまける。
きっと牛がただモーモー鳴いている風景に、自分の思いを展開する丸山先生の視点に面白さを感じる。
さらには
動物における真の自由は何かということについて
ああでもないこうでもないとぶちまくり、
そのとき牛の耳は
虚弱体質とはちょっと異なる少年の独り言を捉え、
同時に
澄みきった瞳が
草原に延びる赤土の道と
過去の片鱗も留めぬ陽光を
くっきりと映し出した。
柵を蹴破ってそっちへ向かう際
牛は私に「おまえにも広い世界を見せてやる」と言い放った。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結8」5ページ)