丸山健二「千日の瑠璃 終結1」一月四日を読む
ー厳しい世だから世一の世界を心に抱いてー
一月四日は「私は自動販売機だ」で始まる。あやまち川沿いの街道に立つカップラーメンの自動販売機らしい。
以下引用文。自動販売機が語る馴染みの客・世一の姿は、丸山先生が時々エッセイで語るペットのタイハクオウム、バロン君の「現在という概念しかない」というような言葉で表現されていた姿を思わせる。「時間の概念やら明日の予定やらとはいっさい無縁」という在り方が、丸山先生が理想とされる、でも現実には中々厳しい生き方なのではないだろうか。
でも厳しくなるばかりの世だからこそ、心に世一を住まわせ、ダイハクオウムのバロンくんを思い描いて生きていきたいものである。
かかるところへ
時間の観念やら明日の予定やらとはいっさい無縁な
かの少年世一が忽然と現れた。
(丸山健二「千日の瑠璃 終結1」382ページ)