アーサー・モリスン「ジェイゴウの子ども」 31章 140回

「よう、兄弟!」ビル・ランは大声で叫ぶと、四年前のオールドベイリーの出来事を思い出して、それが素晴らしい冗談であると考えた。

「すばらしいじゃないか?」ジェリー・ガレンは怒りまじりの皮肉をこめて言うと、新しい教会にむけて親指をつきだした。「通りは、すっかり消えてしまった。今、ここで生活するなんていいじゃないか? 泥棒なんかする必要があるものか、これは口がすべった!」

「ほう、お前さんはどうなんだい?」ジョシュはにやりとしながら訊いた。するとジェリー・ガレンは、にやりとした笑いを満面にうかべ、目配せをすると、口笛をふきながら行ってしまった。

 

 「また戻ってきたのか、ジョシュ・ペロー!」老ベヴェリッジが声をかけてきたが、昔よりもいっそうみすぼらしい格好で、「困窮しています」とチョークで書いたばかりの帽子をあいかわらず被っていた。「また戻ってきたな! でも可哀想に、ここに住めないんだから。おれたちも可哀想そうなものだ、ここに住めないんだから」

 ジョシュは、ひどく痩せた老人の姿を見送りながら、相手の真意を疑い、漠とした憤りの感情をいだいた。そうした考えは、彼とは無縁のものだったからだ。そうして彼が眺めていると、スタート神父が教会からでてきて、ジョシュの肩に手をおいた。

 「これは!」神父は大声をだした。「家に帰ってきたのに、私のところに寄らないなんて! でもここにいるからには、寄ろうとしていたにちがいないね。あまり、こきおろさないでくれよ。とにかく、中に入りなさい。ずいぶん調子よさそうに見えるじゃないか。休日をとるということは、大事なことだね。それも長い休日なら、いっそう大事じゃないかね?」神父は腕をとると、ジョシュをひっぱった。彼はにやりとしたが、まごついて、顔を赤くしながら、集会室の扉へむかった。丁度そのとき、サム・キャッシュがラック・ローの角を曲がって来たが、指には細い紐をかけて、その紐には雷鳥が束になってぶらさがっていた。

 

‘Wayo, brother-in-law!’ sang out Bill Rann, who remembered the Old Bailey fiction of four years back, and thought it a capital joke.

‘Nice sort o’ thing, ain’t it?’ said Jerry Gullen with indignant sarcasm, jerking his thumb toward the new church. ‘The street’s clean ruined. Wot’s the good o’ livin’ ‘ere now? Wy, a man mustn’t even do a click, blimy!’

‘An’ doncher?’ asked Josh with a grin. Hereat another grin broke wide on Jerry Gullen’s face, and he went his way with a wink and a whistle.

‘And so you’re back again, Josh Perrott!’ said old Beveridge, seedier than ever, with the ‘Hard Up’ fresh chalked on the changeless hat. ‘Back again! Pity you couldn’t stay there, isn’t it? Pity we can’t all stay there.’

Josh looked after the gaunt old figure with much doubt and a vague indignation: for such a view was foreign to his understanding. And as he looked Father Sturt came out of the church, and laid his hand on Josh’s shoulder.

‘What!’ exclaimed the vicar, ‘home again without coming to see me! But there, you must have been coming. I hope you haven’t been knocking long? Come in now, at any rate. You’re looking wonderfully well. What a capital thing a holiday is, isn’t it—a good long one?’ Taking Josh by the arm he hauled him, grinning, sheepish and almost blushing, toward the club door. And at that moment Sam Cash came hurrying round Luck Row corner, with his finger through a string, and on that string a bunch of grouse.

 

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