アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」8章81回

或る店は羽振りがよく、金めっきをほどこし、窓には磨き板ガラスをはめこんでいた。かたや或る店は、そうした店と同時期に開店したにもかかわらず、事業の失敗を告白する有様で店をかまえ、その様子は貧相で、品がなく、哀れをもよおす雰囲気がただよい、どの窓にも絶望がたちこめていた。さらに古い建物がー本当に古かった―ハロー・グリーンのあたりに建っていた。だが、解体の作業車が建物を引き倒しにかかっていて、なにかを建てるために場所をあけていた。そうこうして、新しい店がふたたび始まり、好き勝手に道の両側に立ち並んでいた。やがて店舗は新しいとは言い難いものになり、はっきりとはしないながら年月を積み重ね、煉瓦と漆喰からなる平凡なロンドンの景色となっていた。メリーランド・ポイント鉄道駅を過ぎた。そこはとても大きな街で、ガタガタという騒音が絶え間なく響き、煙と泥があふれていた。

 

 ストラットフォード・ブロードウェーは広々とした街で、活気にあふれ、その教会も、市の公会堂も堂々とした、巨大な建物だった。だが、すぐに道は狭くなり、だんだん汚くなっていった。不衛生な通りへの入り口は泥でぬかるみ、汚らしい子ども達が舗道にたむろしていた。やがて工場がならびはじめた。そして道は狭い運河にさしかかったが、その運河は虹のように不思議な光をはなつ泥がたまり、厚い層となり、関心をもたない者たちの目もひきつけた。どの船もそこを通るからだ。関心をはらわない者であろうとも、その鼻だけは反応した。すさまじい量の、ありとあらゆる下卑た品々があつめられ、不可思議な山をなしていた。そこには草が生えようとしなかった。ジョニーが読んできたどの本よりも、あるいはベッシーが夢にみてきたどんな風景よりも、希望がなく、荒涼として気力を失わせる荒野であった。隅のほうで堆肥をつくる作業をしているせいで、すさまじい匂いがどこまでも漂っていた。

 

Some were prosperous, brilliant with gilt and plate-glass; others, which had started even with them, stood confessed failures, poor and mean, with a pathetic air—almost an expression—of disappointment in every window. Older buildings—some very old—stood about Harrow Green, but already the wreckers had begun to pul a cottage down to make room for something else. And then the new shops began again, and lined the road without a check, till they were new no longer, but of the uncertain age of commonplace London brick and mortar; and Maryland Point Railway Station was passed; and it was town indeed, with clatter and smoke and mud.

Stratford Broadway lay wide and busy, with the church and the town-hall imposing and large. But soon the road narrowed and grew fouler, and the mouths of unclean alleys dribbled slush and dirty children across the pavement. Then there were factories, and the road passed over narrow canals of curiously iridescent sludge, too thick, to the casual eye, for the passage of any craft, but interesting to the casual nose. And there was a great, low, misty waste of the dullest possible rubbish, where grass would not grow; a more hopelessly desolate and dispiriting wilderness than Johnny had ever dreamed of or Bessy ever read; with a chemical manure-works in a far corner, having a smell of great volume and range.

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