アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」16章158回

「おまえも今では、我慢の日々らしいなあ。でも、こっちを見ろ」バトスンさんは立ち上がると、アイザックおじさんと対峙した。「おれは文無しの、すっからかんなんだ。おまけに、腹も減っているときている」

「そうだな、それはよくない」アイザックおじさんはいった。「だが、どうして金持ちの親戚連中を頼らないのかね?」

 バトスンは顔をしかめた。「連中のことなんか考えたこともない」彼はいった。「ささやかな稼ぎでも、お前さんの肩をたたいた方がましだよ。おれはどうすればいい? もう限界にきているよ。やれるだけのことはすべてやってみた」

「そうだな、会社をやりたがっていたじゃないか」アイザックおじさんは答えたが、なにを相手にすすめたものか途方に暮れていた。「会社があるじゃないか。前にも会社をすすめたじゃないか、すばらしい結果をもたらすものだと。そう、実にすばらしい結果を。それから結婚はどうだ? マリナーズ・アームズの女主人がいるじゃないか。いつも親切にしてくれたし、それこそ君にふさわしい人生というものだ」

「うおぅ」バトスンさんはうなり声をあげ、のけぞってみせると、ふたたびアイザックおじさんの横を歩きはじめた。「あの女はおれを給仕にしようとするぞ。そもそもだ、あの女はたいした相手じゃない。もし一シリングをくれるつもりがないなら、何か食べ物をご馳走してくれ。お茶はこれからなのか?」

 バトスンのために、なにかを犠牲にしなければならない状況は明らかだった。アイザックおじさんの頭にひらめいたのは、一番安上がりにすませるには、ナン・メイのベーコンを少しばかり食べさせればいいということだった。そこで彼はいった。「そうだな、姪のところでお茶をしようとむかっていたんだが。お前のことも歓迎してくれるはずだ」

「わかった。昔、森で紅茶をだしてくれた、あの姪か?」

「そうだ。今はハーバー・レーンにいる」

 

“Seems to me you’re tryin’ to stand auf as much as ye can now. Look ‘ere.” Mr. Butson stood and faced Uncle Isaac. “I’m broke, clean broke, an’ worse. I’m ‘ungry.”

“It’s—it’s very bad,” said Uncle Isaac. “But why not go t’ yer rich relations?”

Butson frowned. “Never mind them,” he said. “I’d rather try an’ tap your small property. What am I to do? I’m at the end of me tether, an’ I’ve tried everything.”

“Ah—Enterprise is what you want,” Uncle Isaac said, being at a loss what else to recommend. “Enterprise. I’ve recommended Enterprise before, with wonderful results—wonderful. An’—an’ ‘ow about marryin’? There’s the lan’lady at the Mariner’s Arms. She was alwis very friendly, an’ that’s a life as ought to suit ye.”

“G-r-r-r!” Mr. Butson turned his head with a growl and took to walking again, Uncle Isaac by his side. “She’d want to make a potman of me, an’—an’—well that ain’t much catch, any’ow. If you won’t lend me a bob, stand me a feed o’ some sort. Ain’t ‘ad yer tea, ‘ave ye?”

Plainly something must be sacrificed to Butson, and it struck Uncle Isaac that the cheapest article would be some of Nan May’s bacon. So he said, “Well, I was thinkin’ o’ poppin’ round to my niece’s to tea. I’m sure she’d make ye very welcome.”

“Awright. Same niece as give us tea over in the Forest that time?”

“Yus. She’s round in ‘arbour Lane.”

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