アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」21章191回

「ああ、出ていくとも。どうやら警察によばれたいようだ」

 バトスンはその言葉に息をのんだ。彼の顔をなにかが横切り、それはまるで白いスクリーンから偶然に反射する光のようだった。だが彼は繰り返した。「出ていけ!」ドアのほうを指し示した。

「ああ、出ていくとも!」アイザックおじさんは言うと、帽子を頭にかぶった。「出ていくとも。悲しくなんかないねえ。ふん。まさにお前さんは、うってつけの親代わりの、ほ、保証人だからな!」アイザックおじさんは苦労しながら、親代わりの保証人という言葉を言おうとした。「めったに見ないような善行の見本だよ!」それから彼は暗い通りへと消えていったが、むかっ腹をたてている威厳の見本のようであった。

「なんてことを、ヘンリー」ナンは涙にくれていった。「なんてことをしてくれたの」

「ああ、やったとも」バトスンは答えると、葉巻へと手をのばした。「やりたいことをやったまでだ。ただ、それだけだ。おれにはそうする権利があるからだ。いいか」

 ナンは、彼のねめつけに、荒々しく、威圧してくるものを感じて、視線をそらした。この出来事のせいで、疑念が彼女の心に生じた。ひどい仕打ちは、彼女の前に影となってたちこめてきた。

 

“O yus, I’ll go. P’raps you’d like to call the p’lice?”

Butson caught breath at the word, and something crossed his face like a chance reflection from a white screen. But he repeated, “Go on!” with a gesture toward the door.

“Yus, yus!” said Uncle Isaac, with his hat on his head. “I’m goin’! An’ not sorry neither. Ho! You’re a bright sort for a local p’rentis, you are!” (Uncle Isaac may have been at odds with the phrase in loco parentis). “A uncommon neat pattern!” And he walked out into the dark street, a small model of offended dignity.

“O Henry,” cried Nan in tears, “what have you done?”

“I’ve done,” answered Butson, reaching for his cigar, “jist what I meant to do. That’s all. ‘Cos it suited me. See?”

Nan felt the coarse overbearance of his stare, and dropped her gaze beneath it. And with that misgiving fell upon her: the shadow her punishment flung before it.

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