チェスタトン「マンアライヴ」一部一章第20回

先ほどの大気中の荒々しい乱れのせいで、彼らは平静さを失い、庭では木々が黒く焼けただれて倒れていた。そのむこうには、ありとあらゆる物が偶然にも集まり、疾走する風に急かされていた。藁、小枝、敷物、紙、さらに遠くには帽子がひとつ消えようとしていた。だが消えたように見えても、そこで消えたわけではなかった。数分の間隔をおいた後に、かれらの視界には帽子がふたたび入ってきたが、どんどん大きく、近くに見えてきた。白のパナマ帽のようで、天国に舞い上がる様子は風船のようであり、束の間、前後にゆれる様子は壊れた凧のようであった。やがて、帽子は散りゆく葉のようにためらいがちに、彼らがいる芝生の中央に着地した。

 

A fresh eruption of the atmosphere had indeed almost thrown them off their balance and broken the blackened trees in the garden. Beyond, all sorts of accidental objects could be seen scouring the wind-scoured sky—straws, sticks, rags, papers, and, in the distance, a disappearing hat. Its disappearance, however, was not final; after an interval of minutes they saw it again, much larger and closer, like a white panama, towering up into the heavens like a balloon, staggering to and fro for an instant like a stricken kite, and then settling in the centre of their own lawn as falteringly as a fallen leaf.

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