チェスタトン「マンアライヴ」一部四章第96回

 くつろいでいたムーン氏は、そう言われた瞬間、驚いて飛び上がった。それから彼は芝生を横切って飛び出していったが、その様子はギリシャの妖精物語にある羽根飾りのついた靴をはいているかのようだった。その身の軽さといえば、一跳びで三ヤード跳び、十五本のヒナギクをなぎ倒したくらいだ。だが居間の開けはなった窓まで一、二ヤードのところまで来ると、飛ぶ勢いで駆けていた彼の足も本来の動作へと戻り、鉛のように重くなった。彼は体をねじると、ゆっくりと戻っていきながら口笛をふいた。魔法がかかったこの夜の出来事は、まだ終わっていなかったのだ。

 

The lounging Mr. Moon stood for one split second astonished; then he shot away across the lawn, as if shod with the feathered shoes out of the Greek fairy tale. He cleared three yards and fifteen daisies at a leap, out of mere bodily levity; but when he came within a yard or two of the open parlour windows, his flying feet fell in their old manner like lead; he twisted round and came back slowly, whistling. The events of that enchanted evening were not at an end.

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