アメリア・B・エドワーズ「あれは幻影だったのか、それとも……? ある司祭の報告」No.4

それまで、わたしは生きている人間に合うことなく、道を訊くこともできなかった。だからこそ、霧のむこうから一人の男があらわれ、小道をやってくるのに気がついたときには、心の底から安堵した。たがいの距離が縮まるにつれて―急ぎ足のわたしとはちがい、彼の歩みは遅々したものだった-、相手の左足が不自由で、足をひきずって歩いていることに気がついた。しかしながら周囲は暗く、霧がたちこめていたので、たがいに十二ヤードの距離に近づくまで、彼が黒い服を着ていることにも、英国国教会のフェルトの帽子のようなものを被っていることにも気づかず、それでいて英国国教に異議を唱える牧師のような何かに見えることにも気づかなかった。声が届く距離まで近づくとすぐに、彼に声をかけた。

「道を訊きたいんですが」わたしはいった。「ピット・エンドはこの方向で大丈夫ですか? あとどのくらい歩かないといけませんか?」

まっすぐ前方をみつめたまま、彼は進んだ。だが、わたしの問いかけには何の反応もしめさなかった。わたしの言葉が耳に届いていないことは疑う余地もない。

「すみません」わたしは声をはりあげた。「この道を行けば、ピット・エンドにつきますか? もし、そうなら-」

彼は通り過ぎたが、足をとめることもなく、一顧だにしなかった。気がついていないといってもいいだろう。

言いかけた言葉をのみこんで、わたしは立ちどまった。それから後ろをふりかえって、彼を追いかけようとした。

だが追いかけるかわりに、わたしは呆気にとられて立ちつくした。

 

Up to this moment I had not met a living soul of whom to ask my way; it was, therefore, with no little sense of relief that I saw a man emerging from the fog and coming along the path. As we neared each other-I advancing rapidly; he slowly-I observed that he dragged the left foot, limping as he walked. It was, however, so dark and so misty, thatt not till we were within half a dozen yards of each other could I see hat he wore a dark suit and an Anglican felt hat, and looked something like a dissenting minister. As soon as we were within speaking distance, I addressed him.

‘Can you tell me’, I said, ‘if I am right for Pit End, and how far I have to go?’

He came on, looking straight before him; taking no notice of my question; apparently not hearing it.

‘I beg your pardon,’ I said, raising my voice; ‘but will this path take me to Pit End, and if so’—He had passed on without pausing; without looking at me; I could almost have believed, without seeing me!

I stopped, with the words on my lips; then turned to look after-perhaps, to follow-him.

But instead of following, I stood bewildered.


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