再訳 サキ『耐えがたきバシントン』№28

「チョークを一本貸してくれ」彼は監督生の仲間にいった。

 ランスローは、チョークで線をひくという話が真実であることを悲しい気持ちで理解した。

 コーモスは思いどおりの線をひいたが、それは不安になる程の正確さで、その線をユークリッドの図式やロシアとペルシアの境界地図に使おうとするなら、彼は潔しとしないことだろう。

 「もう少し前にかがむんだ」彼は犠牲者にいった。「もっとしっかりと。愛想良い顔をする必要はないぞ。こっちから、お前の面は見えないからな。異端の言葉に聞こえるかもしれないが、お前は俺よりももっと痛い思いをするんだ」

 慎重に間がとられた。それからランスローがまざまざと思い知らされたのは、本当に上手な者の手にかかると、どれほど巧みに鞭がふりおろされるかということだった。二ふりめの鞭に、大慌てで椅子から体を離した。

 「おや、回数を忘れてしまった」コーマスはいった。「また最初からやり直しだ。お願いだから、同じ位置に戻ってくれないか。終わりにならないうちにまた動いたら、ルートリィにおさえつけてもらって、もう十二回打つからな」

“Lend me a piece of chalk,” he said to his brother prefect.

Lancelot ruefully recognised the truth of the chalk-line story.

Comus drew the desired line with an anxious exactitude which he would have scorned to apply to a diagram of Euclid or a map of the Russo-Persian frontier.

“Bend a little more forward,” he said to the victim, “and much tighter.  Don’t trouble to look pleasant, because I can’t see your face anyway. It may sound unorthodox to say so, but this is going to hurt you much more than it will hurt me.”

There was a carefully measured pause, and then Lancelot was made vividly aware of what a good cane can be made to do in really efficient hands.  At the second cut he projected himself hurriedly off the chair.

“Now I’ve lost count,” said Comus; “we shall have to begin all over again.  Kindly get back into the same position. If you get down again before I’ve finished Rutley will hold you over and you’ll get a dozen.”


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