再訳 サキ『耐えがたきバシントン』№66

女の声がしたのでーその女はコートニー・ヨールのむかいで、用心深く、抑えた声音で話してたー、彼女のブリッジの山は崩れた。

「お金をたくさん持っているし、とても上品だわ。これから世に出る、若い政治家にうってつけの妻よ。近づいて、あの娘を勝ちとるのよ。そうしないと金持ちの花嫁をねらっている誰かさんに奪われるわよ」

 ヨール、そして彼の世知にたけた世話女は、テーブルのむこうをまっすぐに見つめた。そこにいるのはレオナルド・ダ・ヴィンチの娘で、その瞳は真面目で思慮深く、静かにしようと過敏になりすぎている気配があった。フランチェスカは縁結びをしようとしている隣人に怒りを覚えたせいで動悸がした。「なぜかしら」と彼女は自らに問いかけた。「なんの目的もない女のなかには、ひと様の恋にただおせっかいを焼くことに興味をもつ女がいるんだから。こうした類の企みや悪だくみになると頭をつっこんでくるのよ。そこにはひとり以上のひとの幸せがかかっていると言うのに」

A woman’s voice, talking in a discreet undertone on the other side of Courtenay Youghal, broke in on her bridge-building.

“Tons of money and really very presentable.  Just the wife for a rising young politician. Go in and win her before she’s snapped up by some fortune hunter.”

Youghal and his instructress in worldly wisdom were looking straight across the table at the Leonardo da Vinci girl with the grave reflective eyes and the over-emphasised air of repose.  Francesca felt a quick throb of anger against her match-making neighbour; why, she asked herself, must some women, with no end or purpose of their own to serve, except the sheer love of meddling in the affairs of others, plunge their hands into plots and schemings of this sort, in which the happiness of more than one person was concerned? 


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