アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」2章31回

2章

しばらくのあいだ、或る問題がその小家屋に暮らす人々にふりかかった。そして今も、その問題は解決されていなかった。ジョニーの職業選択という問題である。小家屋の位置する場所のせいで、困難が生じていた。最寄りの鉄道駅まで歩いて二マイルかかった。さらに、そこからロンドンまで十二マイルはあった。職業について習得できる場所は、ロンドン市内にあった。だが、そこに行くにはどうすればいいのだろうか。この場所から一家は離れるわけにはいかなかった。その地には小家屋があって、その家は家賃を支払う必要がないのだ。老人がわずかな貯えのなかから購入した家だからだ。それにその地には蝶や蛾もいるので、捕まえれば、干からびたパンで暮らすしかない僅かな年金暮らしに、バターを添えることになった。それに、ここにいれば菜園もあった。ジョニーと別れるということは、母親にすれば耐えがたいことであった。それにどうすれば宿代や食事代を工面できるだろうか?

 

FOR some while a problem had confronted the inmates of the cottage, and now it was ever with them: the choice of a trade for Johnny. The situation of the cottage itself made the main difficulty. There was a walk of two miles to the nearest railway station, and then London was twelve miles off. It was in London that trades were learnt; but to get there? Here the family must stay, for here was the cottage, which cost no rent, for the old man had bought it with his little savings. Moreover, here also were the butterflies and the moths, which meant butter to the dry bread of the little pension; and here was the garden. To part with Johnny altogether was more than his mother could face, and, indeed, what was to pay for his lodging and keep?

さりはま の紹介

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: ロンドン・タウンへ パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.