お金のあるひとは有利ー長寿と年金支給年齢について

Buttonwood: The rich are different | The Economist.

TheEconomist 2012年12月22日

 長く生きるほど、長く働くことになる。先進国は白髪のひとたちにかかる費用と闘っているが、スタンダードな対応は退職年齢のひきあげである。10年から20年のあいだに、65歳から67歳で退職してもらうことがノルマとなる。

 だが、こうした変化は公平なのだろうか。先進国をみてみると、社会的階級が高い裕福なひとのほうが、貧乏なひとより長く生きる傾向がある。近年、この格差は縮小するより広がる傾向にある。その結果、貧乏なひとは裕福なひとより年金給付を楽しむ時間が少なくなる。

 これは簡単には対処できない問題である。お金のあるひとのほうが長く生きる傾向にあるため、年金年齢に関する不公平感が世界中どこにでもある。そして収入レベルだけが長寿の決定的要因ではない。性差による格差もある。女性のほうが男性より長生きする。だがバランス是正のために、退職年齢をひきあげるように女性は求められない。

 歴史的にみて、労働者階級の男性の平均余命が短い要素はその仕事の内容のせいだった。炭坑で働いたり、桟橋でおんぼろ車に荷を降ろしたりする人生のせいで、男たちの体はすり減った。時がたち、製造業からサービス業を土台にした経済へと転換し、この仕事内容からの影響は減じた。

 お金のあるひとと貧乏なひとの格差は、何によって説明されるだろうか。健康管理の利用が可能性としてあげられる。裕福なひとたちは進歩した医療の恩恵をうけている。調査によれば、金持ちと貧乏人の寿命の格差は、英国の場合、1980年代初頭からみていくと、およそ1年にまでひろがっている。アメリカの場合、1970年からみていくと、およそ5年まで上昇している。

 英国では、国民健康サービスのおかげで、心臓病だろうと脳卒中の予防薬だろうと、治療を受診する割合が収入レベルで異なることはない。けれどアメリカでは、無保険者のヘルスケアの利用は一様ではない。調査によれば、アメリカ南西部より北東部の低所得の住民のほうがヘルスケアの利用率も高く、死亡率のデータも低い。

 生活スタイルもおそらく重要である。30年にわたって65歳から74歳の死亡率がさがった大きな要素のひとつに、循環器官系の問題を減らしたということがある。治療技術の向上も理由であるが、喫煙するひとが減ってきたということも大きな要因である。アメリカの分析によれば、大人の喫煙者が5.9パーセント上昇すると、早く死亡するひとの割合がおよそ7パーセント上昇する。

 ここ10年で、男女のあいだの平均余命の格差がせばまってきた理由で考えられるものとしては、男性のタバコの使用が急に落ち込んだことである。対照的に、金持ちと貧乏人の生活スタイルの格差は広がっている。教育をうけたひとと比べると、学歴のない英国人は喫煙、過度の飲酒、貧弱な食生活、運動不足におちる割合は5倍になる。

 これは国によって異なる。フランスでは、金のあるひとと貧乏なひとのあいだで喫煙の習慣の格差はない。それにもかかわらず、ヨーロッパの40歳から65歳を対象にした調査結果によれば、収入の低いひとたちが裕福な人たちのように危険を意識して行動することで、早く死亡するひとの割合は男性で23パーセント、女性で16パーセントほど減少するだろう。

 こうした生活スタイルの差がなぜ続くのか納得できる合意にはいたっていない。貧乏だというストレスが人々をますます喫煙にかりたて、賢明ではない食生活にはしらせると主張するひともいる。だが、そこには文化的な要素もあるように思える。アメリカでは同じ収入でも、ヒスパニック系と黒人とでは健康状態が明らかに異なる。裕福なひとたちのあいだで喫煙がすたれたということも文化的な要素である。喫煙という習慣は、豊かなクラスではもはや社会的に受け入れがたいものなのである。

 寿命の格差の最大の理由が生活様式だとしたら、年金受給年齢を引き上げることはしないで、健康問題を直接取り上げたほうがいい。国によっては職業ごとの年金計画(消防士や陸軍)があるが、危険の多い職業だというせいで、労働者に早めに退職することをみとめている。

 しかし政府の年金計画も、すべての国民に均一に年金を支払わないアメリカの年金計画のように、密接な関連性がある。裕福なひとたちは長生きするだけではなく、生きていくなかで高い収入を得る。現在、アメリカ政府の年金のうち85パーセントだけが課税対象であり、裕福なひとに最大の利益をもたらすものである。寿命の格差にしても、赤字の現実にしても、ふさぐべき抜け道であることにちがいない。(さりはま訳)

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