アダム・スミス 道徳感情論 1.Ⅱ.24の途中まで ③

しかしながら宮殿の効果のなかでもすぐに見いだされるものがあり、それは宮殿内で暮らす人々の衣食住の便であり、喜びであり、陽気さなのである。その効果は好ましいものであり、想像力に心地よい考えをたくさん吹き込む。すなわち宮殿に暮らす人々には能力があり、さらにもう少し先の結果を追いかけようとする気持ちにはめったにならない考えである。絵画や漆喰で模倣された楽器や農作業の道具などの装飾品はよく見かけるものであるが、ホールや食堂の感じの良い装飾品である。同じような装飾品でも、外科手術や解剖のための器具、切断ナイフや骨を切断したり頭蓋骨をひらくためのノコギリなどを題材にしたものもあるが、そうしたものは理性に反するものであり衝撃的なものである。しかしながら農具よりも、外科手術の器具のほうが常によく磨きこまれ、本来の目的の意図にあうように準備してあるものである。間接的な効果ながら手術の道具には、患者の健康に好ましい効果がある。しかし、すぐにあらわれる効果とは苦痛であり、苦しみである。手術道具を見ると、私たちはいつも不愉快になる。

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