サキの長編小説 「耐えがたきバシントン」 Ⅺ章 126回

午後の愉快な訪問から戻ったエレーヌを待っていたのは、使者が急いでもってきた手紙だった。それはコーマスからの手紙で、彼女が貸してくれた金を感謝しつつも、返してきた手紙だった。

 

「君に請うべきではなかったと考えている」彼は書いた。「でも、お金のことに関して、君が真面目なのが面白くて、つい借りてしまいたいという衝動に抗えなかった。でも、たった今、君がコートニーと婚約されたという知らせを聞いた。君たち二人を祝福する。すっからかんの文無しの僕には、結婚祝いの贈り物を買うことができない。そこで、パン皿をかえすことにする。幸いにも、皿には君の紋章がついたままだ。これからの人生で、君とコートニーが、その皿からパンとバターを食べているところを考えて楽しむことにしよう」

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