アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」1章19回

「そうだな」老メイはいった。もう片方がまだ休息している様子をみると、彼はつけ加えた。「たしかに」

「だが彼には誇りというものがある。そう、誇りがある」アイザックおじさんはいうと、頭を物悲しげにふってみせた。

「おそらく、誇りは持ち合わせている」ミスター・バトソンは素直にみとめた。「私にも関わりがあったことだろう。でも、一銭たりとも貰っていない。ひざまずいて請われても、貰いはしない。はじめて会うひとなのに、やすやすと見つめるような真似はできないのだ」

「ああ、そうでしょうとも」アイザックおじさんが吐息をついた。「でも、それでは理性を正しく働かせていませんよ。理性は働いていません」

「それでも自尊心は働いている」ミスター・バトソンは不機嫌にいった。「あの連中が情け容赦ない態度をとりたければ、そうさせておけばいい」

 

“Jus’ so,” said old May. And seeing that the other still paused, he added “Of course.”

“But ‘e’s proud—proud!” said Uncle Isaac, shaking his head plaintively.

“P’raps I am proud,” Mr. Butson admitted candidly, “I s’pose I got my faults. But I wouldn’t take a penny from ‘em—not if they was to beg me on their knees. Why I’d sooner be be’olding to strangers!”

“Ah, that ‘e would,” sighed Uncle Isaac. “But it ain’t self-justice. No, it ain’t self-justice!”

“It’s self-respect, any’ow,” said Mr. Butson sullenly. “If they like to treat me unnatural, let ‘em.”

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