アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」24章210回

24章

 ハーバー・レーンの我が家に、バトスンさんはだんだん我慢できなくなってきた。彼がさげすむ気持ちはあいかわらずで、卑しい環境のことも、下卑た商いのことも、地味な妻のことも、実際、この場所に関した諸々のことをさげすんでいた。ただ、もっともな例外もあって、それはそこから金をひきだすことができるということであり、そこで食べ物にありつくことができるということだった。さらに今では、義理の息子が従順ではないという問題もかかえていた。義父が権威をふりかざして利己的な主張をしていないかと、目をひからし、聞き耳をたてていたので、そうした権威をみつけようものなら、義理の息子は反抗することだろう。義理の息子はすべてが不快な人物で、嫌なことに、火かき棒をふりかざすことも仄めかした。それも居間には不釣り合いな、大きな火かき棒だった。彼のことを疑ってもいるようで、不快なことに、警察の話をもちだしたりした。不快になったり冷や汗がでたりする話題だった。そこでバトスンさんは、ウェストへとしょっちゅう出かけるようになり、バーの社交界に長く留まって慰めを見いだすようになった。

 ジョニーはどうかといえば、気がつくかぎりでは、バトスンさんは積極的に手をだすのをやめたように思えたので、彼は他のことを考えるようになった。それでも監視を怠らなかった。製図も関心を要求する事柄ではあったが、もっぱら関心をしめていたのは別のことであった。

 

HIS home in Harbour Lane grew less sufferable than ever to Mr. Butson’s tastes. His contempt remained for the sordid surroundings, the vulgar trade, the simple wife—for everything about the place in fact, with the reasonable exceptions of the money he extracted from it and the food he ate there; and now there was the new affliction of an unsubmissive stepson. A stepson, moreover, who watched, and who kept alert ears for any expedient assertion of authority whereat he might raise mutiny; a most objectionable stepson in every way, far too big, and growing bigger every day; who would not forget bygones, and who had a nasty, suggestive way of handling the poker—a large poker, an unnecessarily heavy poker for a sitting-room. And he seemed to suspect things too, and talked unpleasantly of the police; a thing that turned one hot and cold together. So Mr. Butson went more up West, and sought longer solace in the society of the bars.

As for Johnny, finding Butson ceasing, so far as he could see, from active offence, he gave thought to other things; though watching still. His drawing was among the other matters that claimed his care; but chief of them all was a different thing altogether.

 

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