チェスタトン「マンアライヴ」二部二章第249回

私の試訳

モーゼス・グールド氏は、もう一度、作品集の読み上げを阻止しようと試みた。彼の様子からすると、読み上げる者はすべての形容詞を省くことで、会議録を短くしなくてはいけないと考えているらしい。デューク夫人はもう目覚め、とても素敵な話にちがいないと言った。そして、この判断は正式に記され、モーゼスによって青の鉛筆で、マイケルによって赤の鉛筆で書き留められた。イングルウッドはそれから、その文書を読み上げ始めた。


Mr. Moses Gould once more attempted the arrest of the ‘bus. He was understood to suggest that the reader should shorten the proceedings by leaving out all the adjectives. Mrs. Duke, who had woken up, observed that she was sure it was all very nice, and the decision was duly noted down by Moses with a blue, and by Michael with a red pencil. Inglewood then resumed the reading of the document.


既訳によれば、以下のように訳されている。(論創社176頁)

論創社版の訳「モーゼス・グールド氏は、もう一度注意をうながして書類の読み上げを短くすべく、すべての形容詞を省くことが求められているのだと言った(途中略)デューク夫人はモーゼスの発言を青鉛筆で、マイケルのを赤鉛筆で正しく書き留めているのだった(略)」

 

【疑問1】the arrest of the ‘bus とは何だろうか?omnibus「著作集」の省略形と私は考えたが、まだ迷うところである。既訳では、のちの話の流れからだろう、「もう一度注意をうながして」と訳されているが…。

 

【疑問2】the reader should shorten the proceedings 既訳では主語のreaderと目的語のproceedingsをまとめて訳しているが、別々に丁寧に訳してもいいのでは?と思う。

 

【疑問3】the decision was duly noted down by Moses with a blue, and by Michael with a red pencil. 既訳では書き留めているのはデューク夫人だが…主語をとり違えているのではないだろうか。

 

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