再訳 サキ『耐えがたきバシントン』№60

「彼女の名前は覚えていないんだが。たしかサン・レモかメントーネか、いかにもというところに別荘があって、ブリッジがとても上手い女性だ。それに女性としては珍しいことだが、ワインの素晴らしい鑑定家だ」

「でも、彼女は何を書いたのかしら」

「ああ、薄い氷をふんでみせるような小説をいくつか書いている。最近の小説では、『そう望んだ女はウェンズディ』というのがあるが、これはすべての図書館で禁止になった。君も読んだだろう」

「なぜそう思うのかしら……わからないわ」彼女は冷ややかにいった。

“I forget her name; she has a villa at San Remo or Mentone, or somewhere where one does have villas, and plays an extraordinary good game of bridge.  Also she has the reputation, rather rare in your sex, of being a wonderfully sound judge of wine.”

“But what has she written?”

“Oh, several novels of the thinnish ice order.  Her last one, ‘The Woman who wished it was Wednesday,’ has been banned at all the libraries.  I expect you’ve read it.”

“I don’t see why you should think so,” said Francesca, coldly.


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