さりはま書房徒然日誌2024年12月18日(水)

東秩父和紙の里で紙漉き体験

手製本工房まるみず組企画の東秩父和紙の里紙漉き体験ツアーに参加してきた。
埼玉の方から「埼玉でも和紙を作っているなんて知らなかった」と驚かれたが、なんでも東秩父村の細川和紙はユネスコ無形文化遺産に登録されているそうである。
到着後まず埼玉県伝統工芸士の女性が楮(こうぞ)畑に案内してくださる。

↓楮は生育が旺盛で、これからの時期に刈り取るそうである。
刈り取った楮の皮を剥き、内側の白い皮だけを使うらしい。

畑から工房へ。剥ぎ取った楮の皮は、工房外の水槽につけた後、工房内の釜でアルカリ薬品で四時間煮て、また外の水槽で洗うとのこと。

↓井戸水でチリ(筋や汚れ)取り。とても大変そうな作業である。手前はチリ(黒い点)があるダメなもの。

チリが混ざってしまうと和紙に黒い点ができて損紙(使えない紙)になってしまう。

↓チリの名残の黒点。これだけでもダメなのだそうである。

↓チリが混ざったため使い物にならず損紙になった紙の山

↓チリを取り除いて、薙刀ビーターで楮を切り裂いたり。ちなみにこうした道具は地元の鉄工所に作成してもらっているらしい。

↓棒で楮を叩かせてもらった。「シャンプーした後の犬の毛みたい」と言われている方がいたが、たしかにそんな感触である。

↓こうして手間暇かけて楮やトロロアオイを混ぜ、私たちが思い浮かべる紙漉きの場面に。

ただし、こうした紙漉きに使うスアミ(紙をすくう御簾みたいなもの)を支える職人や物が非常に少なくなってきている現状らしい。
スアミに使われるヒゴを作るヒゴ職人もほとんどいなくなり、ヒゴをつなぐ絹糸も手に入らなくなってきているとか。


↓スアミ

手漉き和紙体験施設に移動して、私もトライ。薄いところ厚いところとムラが出来て難しい。

↑東秩父和紙の里にある手漉き和紙農家を移築した建物。


和紙の優しい風合いの背後には、職人さんたちが手間隙かけての丁寧な作業があると知った。それにも関わらず、技術を支える様々な職人さんたちが消滅しかけていることも。

時間があればぜひ東秩父和紙の里を訪れ、そうした世界を見て頂けたらと思う。
蕎麦打ち体験もできるし、蕎麦屋のお蕎麦もとても美味しい。素敵な和紙製品も販売、農産物販売所(水曜日定休)もありますよ。


↓道の駅で食べた蕎麦。蕎麦粉の風味が豊かでとても美味しかった。


知らない世界を見せてくれたまるみず組、東秩父和紙の里に感謝しつつ帰途につく。

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