製本基礎講座ー製本用のヘラを仕立てるー
板橋の手製本工房まるみず組の製本基礎講座。
全48回の講座も今回で25回め、今日から後半の講座がスタートした。
今回は道具づくり。製本をするときに溝をつけたり折れ目をつけるヘラを自分で2本仕立てた。
(↓ 最初はこんな感じ)

和裁用の牛骨ヘラをヤスリでひたすら擦って、形を整え、エッジをつける。
(↓ヤスリでひたすら擦る。粉がたくさん出る)

形が出来上がると、アルミホイルの舟に並べ、油絵用のアマニ油を注いで密封。24時間後に中性洗剤で洗い落とすそう。

牛骨に油が浸透して、ヘラが丈夫になるらしい。色も白から飴色っぽい色に変化する。
(↓右側がアマニ油に浸した後のもの)

先生が最後の仕上げをしてくださりながら、「肉も皮も骨も使わせてもらって、私たちはまさに命を頂いている」と言われた言葉が心に残る。
こうして命が宿っていた牛骨のヘラを使っての製本作りには、やはりネットや電書の世界にはない温もりがあるように思えてならない。
ちなみに豚の骨は柔らかいから駄目、鹿は大丈夫とのこと。角は外に出ている部分のせいか硬くて適しているとも……
象牙は今は輸入できず国内にあるものしか使えないが、一番丈夫らしい。そう言えば三味線の撥も象牙だ。使いすぎて撥としては役に立たないものを探してヘラに仕立てたい気がする。今度探してみよう。
道具も自分で仕立てる手製本の世界をとおして、言葉を、世界を眺めると、とても優しい気持ちになってきて、関わり方が変わってくる気がする。