丸山健二『千日の瑠璃 終結6』より二月二十日「私は浮き世だ』を読む
善人の見本みたいな男と「誰の手にも負えない 厄介な浮き世」との対話。
以下引用文。善人をせせら笑う浮き世のこんな声が、実際、丸山先生の耳には聞こえ、大町にこもって作品を書く原動力になっているのではないだろうか。
「逆らえるものなら逆らってみろ」という世間の声に呑み込まれまいとして生き用途する……その葛藤が、丸山先生に限らず、言葉をつかって表現しようとする者の原動力なのかもしれない。
見るだけで虫唾が走る
そんなタイプの彼に対して私は
「ならばおれにとことん逆らってみたらどうだ
逆らえるものなら逆らってみろ
無理ならばおとなしく従うことだな」と言ってやる。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結6』33ページ)