さりはま書房徒然日誌2025年4月16日(水)

丸山健二『千日の瑠璃 終結6』より二月二十七日「私は羨望だ」を読む

「娼婦を娼婦と承知しながら眺める女子高校生たちの熱い眼差し」に込められた「羨望」が語る。
以下引用文。「糖質と性的な夢に目がない」という女子高校生たちが娼婦に抱く羨望。
それでも世一と娼婦の立ち話をする場面では、羨望の念を抱く方にも、抱かれる側にもギトギトしたものがない。
青づくめの世一、シクラメンの赤、娼婦の白……という色に丸山先生が込めたメッセージとは?と考える。そのメッセージに意味があるからこそ、羨望が「淡雪のごとくかき消える」のも、「病児の救いがたい影」が残るのも、心に沁みる現実として刻まれるのではないだろうか。

彼の青がシクラメンの赤をぐっと引き立て
   そして彼女のイメージカラーとしての白をさらに映えさせ、

世一と立ち話を交わす彼女は
   この私を一段と輝かせ、

彼女が颯爽とした足取りで立ち去るや
   私は淡雪のごとくかき消えて
      その後には
         病児の救いがたい影のみが残される。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結6』

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