さりはま書房徒然日誌2026年2月3日(火)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より九月十一日(火)「私は夜だ」を読む

まほろ町「全体をすっぽりと覆い尽くす 寂寥たる夜」が語る。

以下引用文。夜は丸山先生の見つめるこの世の厳しい姿にも思え、そして少年世一は理想とする人間の在り方なのだなあと思う。

それから私は
   卑金属と貴金属のいかんともしがたい隔たりを
      闇の力をもって一挙に縮め、

夏の風と秋の葉の境目を
   ふとした拍子に鮮明にし、

なお生きつづける水と
   あとはもう死ぬしかない水とを明確に分ける。



されど
   光と闇を隔てなく縫って進み
      意識することなく愛の断片をばら撒き
         この世に対して繊細な観察を加え
            どこまでもおのれの取り決めに従って生き
               滅多に涙を見せぬ
                  まさに無頼そのものの少年世一に対しては
                     どうこう言えた義理ではない。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』45ページ』

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