アーサー・モリスン倫敦貧民窟物語「ジェイゴウの子ども」5章40回

 戦いは昼前には一時おとろえたが、午後になるとふたたび開始された。そしてディッキー・ペローも逃げる途中で反逆に転じ、いつのまにか小競り合いのなかにいた。だが、ある男がディッキーの鉄のかけらをひっつかむと、ラリーのひとりを殴り倒した。その手柄を助けたということは名誉なことであり、満足のいくことではあったが、ディッキーは武器をなくしてしまい、涙をこぼしてしまいそうになった。だが、トミー・ランは復讐に行こうとはせず、しかも武器は自分のためだけに使おうした。仕方なくディッキーは、ただ杖を手にいれるためだけに、悲しそうな様子で小競り合いを追いかけた。戦闘に使われていない棍棒は、見つけるのは容易ではなかった。そこでディッキーは、ジェイゴウからでてくると、ミーキン・ストリートにむかった。そこには店が数軒あるからだ。だが、ついていないことに棍棒を見つけることはできなかった。惣菜屋のあるミーキン・ストリートから、狭いラック・ロウの通りをぬけ、ジェイゴウへと戻ってきた。

The battle flagged a little toward mid-day, but waxed lively again as the afternoon began. It was then that Dicky Perrott, venturing some way from the retreat, found himself in a scrimmage, and a man snatched away his piece of iron and floored a Leary with it. Gratifying as was the distinction of aiding in the exploit, Dicky mourned the loss of the weapon almost unto tears, and Tommy Rann would not go turn-about with the other, but kept it wholly for himself; so Dicky was fain to hunt sorrowfully for a mere stick. Even a disengaged stick was not easy to find just then. So Dicky, emerging from the Jago, tried Meakin Street, where there were shops, but unsuccessfully, and so came round by Luck Row, a narrow way from Meakin Street by Walker’s cook shop, up through the Jago.

さりはま の紹介

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: ジャェイゴウの子ども パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.