チェスタトン「マンアライヴ」二部一章第195回

「たしか君の言葉では」ムーンはうわの空で話した。「被告人の弾はどれも博士にあたらなかったそうじゃないか」

「科学の力のおかげで」満足げなピム博士は堂々と応じた。「幸いにも当たらなかった」

「そうだけれど数フィート離れたところから発砲したんじゃないか」

「たしかに。数フィートのところからだ」

「それなのに一発も学長に命中しなかった。すぐ近くで発砲したのに?」ムーンは訊ねた。

「そういうことになる」証人は重々しく言った。

「僕の記憶では」ムーンはあくびをかみ殺しながら言った。「副学長の手紙には、スミスの銃撃の腕は大学では記録を保持しているほどだとあったようだけど」

「それがどうしたんだ? 」ピムは一瞬沈黙したのち、反論しかけた。

 

“I think you said,” observed Moon absently, “that none of the prisoner’s shots really hit the doctor.”

“For the cause of science,” cried the complacent Pym, “fortunately not.”

“Yet they were fired from a few feet away.”

“Yes; about four feet.”

“And no shots hit the Warden, though they were fired quite close to him too?” asked Moon.

“That is so,” said the witness gravely.

“I think,” said Moon, suppressing a slight yawn, “that your Sub-Warden mentioned that Smith was one of the University’s record men for shooting.”

“Why, as to that—” began Pym, after an instant of stillness.

 

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