「揺籃期だと!」ムーンは大声をあげると、赤い鉛筆を宙にかざしては、わかったという仕草をした。「おや、それで説明がつく」
「くりかえすけど」イングルウッドはつづけた。「ピム博士であろうと、だれであろうと、他のどんな理論をもとにして説明はできない。ただ学長の署名があることについて僕たちが説明していることだけが説明になる。銃弾ははずれたし、証人もいないからだ」
小男のアメリカ人はよろめきながらも、闘鶏の冷静さをとりもどした。
「弁護側は」彼は言った。「とても大きなことを言い洩らしている。僕達のせいで、実際には犠牲者はだれひとりとして生み出されていないというけれど。ウォルという犠牲者がここにひとりいる。有名な、打ちひしがれたウォルだ。彼は上手に話していると思う。すべての怒りのあとには和解があると言うようなものじゃないか。ウォル、イングランドのウォーナーには非の打ち所がない。だが実は、彼はあまり仲直りしていないんだ」
“Infancy!” cried Moon, jerking his red pencil in the air with a gesture of enlightenment; “why, that explains it!”
“I repeat,” proceeded Inglewood, “that neither Dr. Pym nor any one else can account on any other theory but ours for the Warden’s signature, for the shots missed and the witnesses missing.”
The little Yankee had slipped to his feet with some return of a cock-fighting coolness. “The defence,” he said, “omits a coldly colossal fact. They say we produce none of the actual victims. Wal, here is one victim—England’s celebrated and stricken Warner. I reckon he is pretty well produced. And they suggest that all the outrages were followed by reconciliation. Wal, there’s no flies on England’s Warner; and he isn’t reconciliated much.”