『待合室』
作者:エイクマン
初出:Dark Entries 1964年
ちくま文庫「奥の部屋」
エイクマンの作品はどれも読後に謎が残る。何か見落としているのではないだろうか…と『待合室』も再読してしまった。
ふとした予定の狂いが後から大事に至りそうなけはいではあったが、人生というのは大抵そんなもの
冒頭のこの文が、この作品のすべてを暗示している。
ペンドルべリは列車の乗り換えに間に合わず、さらに乗り込んだ列車では寝過ごしてしまい、思いがけず終点のカスタトン駅の待合室で一夜を過ごすことに。
待合室に案内してくれたポーターは奇妙な具合に首をひきつらせる。やがて眠りについたペンドルベリは奇妙な夢をみる。朝ペンドルベリの悲鳴に駆けつけた駅員は、この地が以前何であったのか、首がひきつったポーターも、この部屋に泊まったせいで首がひきつったのだと教える。
待合室にかけてあるロンドン旧市街の中央裁判所を写した写真があるのも意味があるのだろう。夢のなかで出会う人たちも、背景知識があれば楽しめるのにと残念。
1月から英国怪奇幻想小説翻訳会でみんなでエイクマンを読んでアレコレ一緒に考えるのが楽しみになってきた。
読了日:2017年11月29日