チェスタトン「マンアライヴ」二部四章第415回

「さあ、これが最後の手紙です」ピム博士は満足そうに言った。「英国の少女たちにホッケーや高等数学、理想のあらゆる形を教えようとする高潔なご婦人方の一人から送られてきたものです」

「謹んで申し上げます」と彼女は書いています。「お問い合わせくださいました馬鹿馬鹿しい出来事について申し上げることに異論ございません。ただし注意深くお話をしていきたいと思います。理論的に楽しみますことは、女子学校にとりまして必ずしもいつも役にたつとはかぎりませんから。さて真相は、このようなことなのでございます。私は哲学的、あるいは歴史的な事柄に関する講義をしてくれる方を探していました。しっかりとした教育的な内容のある講義でありながら、通常の講義より面白く、楽しめる講義をできる方ということで探しておりました。その講義は学期の最後の講義になるものでしたから。そのときに私はケンブリッジのスミス氏のことを思い出したのです。スミス氏は何かに興味深い文を書いていらっしゃいました。たしか、ご自分の偏在的な名前についてだと記憶しています。系統や地誌についての素晴らしい知識がうかがえる文でした。私は彼に手紙を書き、この学校で英国の姓について学べる親しみやすい講義をしてほしいとお願い致しました。彼は講義をしてくれました。とても親しみやすい講義でしたが、いささか親しみやすいところがありすぎる講義でした。

“And the last document,” said Dr. Pym complacently, “is from one of those high-souled women who have in this age introduced your English girlhood to hockey, the higher mathematics, and every form of ideality.

“Dear Sir (she writes),—I have no objection to telling you the facts about the absurd incident you mention; though I would ask you to communicate them with some caution, for such things, however entertaining in the abstract, are not always auxiliary to the success of a girls’ school. The truth is this: I wanted some one to deliver a lecture on a philological or historical question—a lecture which, while containing solid educational matter, should be a little more popular and entertaining than usual, as it was the last lecture of the term. I remembered that a Mr. Smith of Cambridge had written somewhere or other an amusing essay about his own somewhat ubiquitous name— an essay which showed considerable knowledge of genealogy and topography. I wrote to him, asking if he would come and give us a bright address upon English surnames; and he did. It was very bright, almost too bright.

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