丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十一月六日「私は神輿だ」を読む
十一月六日は「私は神輿だ」と、「神輿」がまほろ町の住人たちを語る。
以下引用文。神輿が少年世一に呟かせる「高がこれしきの世を生きるのに 何を斟酌する必要があろうかという」という言葉、そういう思いはあっても、やはり祭りの勢いの中でないと呟けない、強気な言葉なのかも知れない。いや普段から、こうした思いを抱いて生きたいもの、と思った。
最後に私は
酒なんぞ飲まなくても四六時中千鳥足で歩くことが可能な少年に
高がこれしきの世を生きるのに
何を斟酌する必要があろうかという
そんな意味の言葉を呟かせ、
とはいえ
それが本当に彼の口から出たのかどうかは疑わしく、
ひょっとすると
彼自身の魂から迸り出た
天の声なのかもしれない。
丸山健二『千日の瑠璃 終結5』9ページ