1946年、カーが40歳のときの作品。
第二次世界大戦直後、ヨーロッパの混沌とした雰囲気を味わえるのもよし。可憐で健気なヒロインが登場するのもよし。塔の最上階という設定も楽しい。列車に飛び乗る活劇風の場面も楽しい。何よりも空飛ぶ吸血鬼の恐怖が楽しい。
楽しい要素が盛りだくさんの作品である。ただ、すべて理詰めで解き明かそうとするカーの姿勢が楽しくないかも。少し曖昧な部分があった方が私的には好みである。
なぜ、この男に巡り合うのか? なぜ、この男に惚れてしまうのか? という部分は謎のまま、曖昧に残っているからいいのだろうか?
やはりカーは楽しいと思いつつ頁をとじる。
2019.06.05読了