アダム・スミス 道徳感情論 1.Ⅱ.17 共感するのは恋人たちの愛情ではなく、そこから生まれる悲劇である

このことから察するに、昨今の悲劇や恋愛小説において、こうした情熱はとても心ひかれるものに思える。悲劇オーファンで私たちをひきつけるものは、カスタリオとモニミアの恋愛ではなく、その愛を生じることになる悲劇なのである。作者は二人の恋人について語りながらも、恋人たちが互いを愛おしく思う気持ちについて確信をもって表現しているが、そこで生み出そうとしているものは笑いであって、共感ではない。こうした恋人たちの場面を悲劇で描くことを許して、いくぶん不適切なところがありながらも我慢してもらっている。それは劇中で表現される情熱に共感するからではない。危険や困難について関心をいだくからであり、その困難から喜びが生まれるだろうことを観客が予見するからである。(1..17

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