アーサー・モリスン「ジェイゴウの子ども」25章 170回

「ああ、かみさんのことなら大丈夫だ」ビル・ランはいって、陽気に彼女のほうへ親指をつきだした。「お前はどうなるんだ? パークハースト刑務所で服役することになるのか?」

 ジョシュはふさぎこんで頭をふった。パークハーストは、あまり手のかからない囚人を収容する刑務所なので、そこで楽な環境を楽しむことになるという希望は、少しも残されていなかった。やがて彼はいった。「今回、ぶちこまれるのは本物の刑務所だ」

「なんだって?」ビルは答えた。「警察に情報提供された挙げ句、そんな目にあうのか?」

ジョシュはうなずいた。

「だれがそんなことをした? だれが通報したんだ?」

 ジョシュは頭をふった。「今はいい」彼はいった。「出所したら、ジェイゴウから、そいつを追い出してやる。逃したりしない。誰かはわかっている。それで今は十分だ」

 やがて面会時間は終わった。ジョシュは接吻してくる妻に耐え、ビル・ランに手をふった。「ジェイゴウの皆によろしく伝えてくれ」彼はいった。ディッキーも手をふって、いった。「元気でね、とうさん」わざとらしい陽気な声を聞いて、ジョシュはふさぎこんだ顔に、つかの間の笑みをうかべ、それから連れられていくと、かの地へと出発した。ジェイゴウの言葉でいえば、犬も食わない地へと。

 

‘Oh, she’ll be awright,’ said Bill Rann, jerking his thumb cheerfully toward the missis. ‘Wot about you? Think they’ll make it Parkhurst?’

Josh shook his head moodily. Parkhurst being the prison reserved for convicts of less robust habit, he had little hope of enjoying its easier conditions. Presently he said:—’I bin put away this time—fair put away.’

‘Wot?’ answered Bill, ‘narkin’ dues is it?’

Josh nodded.

”Oo done it then? ‘Oo narked?’

Josh shook his head. ‘Never mind,’ he said, ‘I don’t want ‘im druv out o’ the Jago ‘fore I come out. I’d be sorry to miss ‘im. I know ‘im—that’s enough.’

And then time was up. Josh suffered the missis to kiss him, and shook hands with Bill Rann. ‘Good luck to all you Jagos,’ he said. Dicky shook hands too, and said ‘Good-bye, father!’ in a voice of such laboured cheerfulness that a grin burst for a moment amid Josh’s moody features as he was marched away, and so departed for the place—in Jago idiom—where the dogs don’t bite.

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