アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」20章180回

その動揺のせいで、ジョニーも、ベッシーも、心が麻痺してしまったままだった。ベッシーのほうが早く立ち直ったけれど、ジョニーは、その変化にむかいあうのにも二、三日かかる有様で、理解しようとするなら尚更、日数が必要であった。最初にありありと感じたのは侮辱されたということであり、恨めしさであった。彼は欺かれ、たぶらかされていたのだ。母親からも。母親にしたところで、彼とベッシーを裏切ったではないか。なぜ、そのようなことをしたのか? 自分たちには、最初に相談してくれてもよかったのに。 

 母さんは相談したかったはずだと、彼は確信した。母親は、あらゆることを相談してくれていたのだから。バトスンが母親を説き伏せ、事がうまく運ぶまで、自分たちに知らせないように仕向け、反対されないように目論んだのだ。それにおそらく、そういう方向へ母親の気持ちをかえたのだろう。たしかに、ジョニーの推測は正しいものだった…。すぐに彼の恨みは激しさをましていき、憎しみへと変化した。それは紛れもない憎しみで、自分と母親のあいだに出現した男にたいしてのものだった。夕食のときの居候男が、仲のよい一家に割り込んできたのだ。

 さらに、これは失礼な相手や、嘘をつかれたことにたいする怒りでもあった。また、自分と同じくらいに、あかの他人が母親と親しくしていることへの嫉妬もあった。バトスンは、それほどの悪人ではないのかもしれない。たとえば、ノギスの腕はまあまあだ…。でもノギスなんて、どうでもいい。

 ジョニーの怒りは、静まることはなかった。日曜日までは、母親は自分のものだった。それが今では、バトスンの妻となっていた。

 

THE shock left Johnny and Bessy numb, and, though Bessy was quicker, the change took Johnny two or three days to realise—even to understand. His first distinct impression was one of injury and resentment. He had been tricked—hoodwinked. His mother—even his mother had deceived him and Bessy. Why? Why not tell them first?

She would have told them, he was sure; she told them everything. Butson had persuaded her to keep them in ignorance till the thing was done, lest they should rebel, and perhaps bring her to a change of mood. And Johnny’s guess was a good one…Forthwith his resentment became something more; hate, mere hate for this man who had come between him and his mother—this cadger of suppers thrusting himself into their intimate life…

And yet—perhaps this was simple anger at the slight and the deception; jealousy at finding a stranger as dear to his mother as himself was. Butson might turn out none so bad a fellow. He was very decent over the callipers, for instance…Curse the callipers!

Johnny’s anger was not to be reasoned down. On Sunday he had his own mother. Now there was nothing but Butson’s wife.

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