2017.12 隙間読書 エイクマン『スタア来臨』

『スタア来臨』

著者:エイクマン

初出: Powers of Darkness, 1966年

奥の部屋 筑摩書房

ある小さな町に往年の大女優ミス・ロウクビーが招かれ、鉛や黒鉛について資料整理をしている演劇好きでもないコーヴァンは知り合いになる。

ミス・ロウクビーと共にコーヴァンが目にする不思議の数々…読んでも意味は分からないながら、不思議さにつつまれて幸せな気持ちになってくる。

ミス・ロウクビーの贔屓筋スパーバスはホテル到着後、姿を消す。重かったはずのスーツケースは軽くなり、中から羽音が聞こえる。

コーヴァンの部屋を見たミス・ロウクビーは何に怯えていたのか?コーヴァンが開いていた『黒鉛とその使用方法』という本のせいだろうか?

ミス・ロウクビーが黒鉛の坑道に連れていってくれと頼んだのはなぜか?

本当の私は連れのミュラという娘、ミュラこそ私の個性だというミス・ロウクビーの話はどういうことなのか?

ミス・ロウクビーが舞台に立っているときに、そのミュラがホテルの火災で焼け死んだのは?舞台にむかって投げられた紫色のリボンがついた月桂樹は、ミュラの、それともミス・ロウクビーの死を悼むものか?スパーバスが投げたのだろうか?

次から次にわいてくる疑問そのものが、この作品から流れてくる気配のよう…不思議さを堪能した。

読了日:2017年12月5日

 

 

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