Young and older workers, two sides of the same coin.
若者の失業に苦しむ国の多くは高齢化も経験している。シニア労働者について考え始めるときではないだろうか。また、特別な注意をむけるカテゴリーとして、シニア労働者を考えるときではないだろうか。
2012年10月8日 ジュネーヴ発 ILOニュース
発達した経済社会では、関係ある二つの難題に直面している。一つは若者の失業の増加であり、もう一つは平均寿命が長くなっていることである。
一見したところ、解決策はとても単純なことのように思えるかもしれない。退職年齢を引き下げれば若者がシニア労働者とかわり、シニア労働者は手にして当然の休息時間へと移行するというものである。しかし、この考え方ではとても大切なポイントを見逃していることになる。
「実際、若年労働者がシニア労働者と代わることは容易ではない。事実から考えてみると、退職を早める政策をとっても、若年労働者グループに仕事をつくることにならない」ILOの雇用部門のエグゼクティブ・ディレクター、ジョゼ・マニュエル・サラザール・キリナーチは、最近、高齢化に関する国連の会議でそう述べた。
主な理由の一つに、固定数の仕事がないことがある。仕事の数というものは、いつも労働市場によって変化する。だからシニア労働者が早期に退職したからといって、若年労働者に自動的に代わるわけではない。
もう一つの考慮しなければいけない要素は、職業人生をとおして技術を習得してきたシニア労働者と同じ仕事を、若年労働者が必ずしも出来るとは限らないからだ。
重要なことだが、若年労働者にしても、シニア労働者にしても、仕事を必要としているのである。ILOは若者の雇用を増やす手段を検討してきており、そのなかには2012年に国際労働会議で185の参加国によって承認された「コール・フォー・アクション(行動を求めよう)」も含まれている。
シニア労働者のための行動を求めよう!
しかしシニア労働者についてはどうだろうか。若年労働者と同じような扱いを受けていないのではないだろうか。結局、60歳あるいはそれ以上の人々の数は、たった150年の期間で10倍に増加するだろう。(1950年の2億400万人から2100年には20億8000万に)
サラザール・キリナーチによれば、私たちに必要なことは、若者への支援と同じようなシニア労働者のための「コール・フォー・アクション」である。
こうした緊急性が理由にもなり、政府、雇用主、労働者は2013年6月に開催される次のILCでの一般協議事項として、人口の変化について、また変化が雇用者や社会の保護システムにあたえる影響について協議することにした。
シニアの雇用を促進する政策にはどんなものがありうるであろうか。
すべてを解決してくれる方法はない。政策はそれぞれの国によって異なるものになるからだ。ただ、かなり成功した方法について言及することは可能だろう。
こうした方法は、シニア労働者のための発展的な教育やトレーニング活動、シニア労働者の雇用を促進する動機づけが含まれ、年をとることへのステレオタイプ的な見方を変えようという意識向上キャンペーンをとおして展開される。
ILOシニア労働者への勧告No122も、労働時間や労働組織についての政策を言及したものであり、検討する価値がある。
「しかしながら、労働人生を延長するということは、すべての人に適しているわけではない。ただし、健康状態がすぐれない人や厳しい労働条件で労働人生を過ごしてきた人、長いこと税を納めてきた人については、労働条件の延長がよいとはいえない」サラザール・キリナーチはいった。
ただ長く働くには健康でなければならないが、これは健康保険への投資と社会保護が必要であるということになる。
(さりはま訳)(リバーチェック)