丸山健二『千日の瑠璃 終結3』五月二十六日を読む
ー矢の様子から色んな思いが伝わってくるー
五月二十六日は「私は矢だ」で始まる。
以下引用文。「天に向かって票と放たれ」た矢は地上のあらゆる姿を観察しながら天に向かうが、やがて力尽きて田舎町まほろ町に落下してしまう。
町への軽蔑の念が「腹立たしい限りの」という言葉に出ているようでもあり……。
「ぐさりと」という言葉から復讐をしたいとでも言いたげな「矢」の思いが迸るようでもあり……。
「ぶるぶるっと」から着地した様子が伝わってくるようにも、人の世界への嫌悪感が伝わってくるようにも思えるのである。
陰険な覚悟を固めないことには生きてゆけそうにない
腹立たしい限りの惑星の面に
ぐさりと突き刺さって
ぶるぶるっと震える。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結』153ページ)